やっぱり親父にゃかなわねえ

今季、福岡での最後の試合となった10月5日。
リーグ最終戦を白星で飾れず、当初の予想から大きくかけ離れた不甲斐ない成績でシーズンを終えたホークス王監督は申し訳ないとファンに告げ「このまま終わるわけにはいかない」とポストシーズンでの雪辱を誓った。
その後、ナイン全員が場内を一周してファンに挨拶をしたのだが、そこには誰よりも先に歩き、ファンに手を振る親父の姿があった。それも、3歩も4歩も先に。

大病を乗り越えて小さくなったように見えた我らが親父の背中は、やっぱり大きかった。

その我らが親父、王監督は来季2008年シーズン限りでホークス監督を勇退すると選手、スタッフに伝え、15日に正式に孫オーナーに報告するという。

親父のやることは、やっぱり違った。
我々にはとてもかないっこないことだ。

昨年シーズン途中に胃がんの手術を受けて休養し、手術前よりもずっと小さくなった身体で今季は指揮を執った。
前述のとおりチームは満足な結果を残せなかったし、何より本人の体調のこともある。
引き際は王監督自身が決めるのが規定だとはいえ、シーズン終了後の去就は気になっていた。

そしたら、続投と言うだけならともかく「来季限り」と条件をつけてきっぱりと期限をつけたではないか。
これほどファンに気を遣った決定もないといってよいだろう。
なぜなら、これに球団のバックアップがある限り来年、それに再来年もホークスは戦う、野球をするということを宣言したも同然なのだ。ホークスファンとしてこれほどありがたいことはない。
来年がどうなるかわからない状況の中で健気に戦い続け、応援し続けてきたダイエー時代を思えば、頑固親父が見せたこの気配りにただ感謝するばかりである。

もちろん、その親父の気持ちを理解する孫オーナーにも感謝している。
カネ以上に口を出したり、カネがない代わりに見えない鉈を振るうオーナーや球団首脳がうじゃうじゃいるプロ野球の中で、カネは出すが口は出さず、自身の一存でチームを動かさない孫オーナーの姿勢は球団買収当時から変わらず、それには敬意を表する。
親会社の利益追求への手腕に関してや球団運営の細かい部分に関しては言いたいこともたくさんあったりするが(苦笑)、ただホークスに関してはホントにあたたかく見守ってくれている。だから我々は親父の背中を見てただひたすらついていくことができるのだ。


結果に対する責任を取るべきであるという意見も、確かにその通りだと思う。
しかし、ダイエーからソフトバンクへ親会社が変わった経緯を考えれば、単に現場トップの首をすげ替えるだけで状況が好転するわけではないというホークスならではの事情も自然とわかるはずだ。
球界再編のうねりの中で、ホークスにも他球団との合併どころか球団消滅って事態もあり得た。
それを、福岡のままで、現状(当時)のままで、かつ王貞治が率いるチームのままで、引き続き野球をすることができ、3シーズンが過ぎた。こんな幸せなことはない。
あの時のままで引き継がれなければ、不甲斐ない成績で終えたことを嘆くような今のホークスはないのだ。
シーズンの成績の責任よりもはるかに重い責任を、ひとりの頑固親父に3年間背負わせてきてるのだ。
今さら、自分たちの感情にまかせてその重荷を下ろせって命令するのも身勝手な話だろう。


それだけ、背番号89を背負う我らが親父の背中は大きいのだ。
頑固親父でありながら常に周囲への気配りを忘れず、我々を喜ばせ、いい夢を見させてくれる。
自分が追いつき、追い越せるでもないであろう大きな背中だ。生まれ変わってもかないっこない。

ただ、自分にも年老いた父がいて子供の目から見て心配になることは数多い。
同じく、背番号89を背負う我らが親父のことも心配だ。
だからこそ、来季は親父には常日頃から思いのたけをぶつけていこうと思う。
現場でのきつい野次のひとつやふたつも覚悟してもらわないとね(苦笑)。

それが、偉大すぎてとてもかなわない大きな背中の親父に対して、自分ができる精一杯のことだ。
いつまでできるかわからない最後のキャッチボールを、とにかく楽しむために。

そして、今度こそ。
勝つまでやるぞ!!プレーオフ!!!


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