小久保裕紀選手のホークス復帰が決まった。
見る者には、さまざまな思いを持って映ったであろう入団会見。
小久保選手も嬉しそうに語るだけでなく、その隣にいた王監督の何と穏やかな表情。
誰よりも小久保選手が復帰してくることを強く願い、そして現実のものとした今の気持ちが手に取るようにわかった。
2003年11月3日。
前日の優勝・日本一パレードから明けて、ぐずついた空模様の福岡。
所用でちょうど出かける直前、ラジオから信じがたいニュース速報が流れた。
「ダイエーの小久保裕紀内野手が、巨人へ無償トレードされることが決まりました。」
そのニュースを読み上げた地元局のアナウンサーですら悔しさをにじませていた。
それも、福岡の街が歓喜に沸いた翌日のこと。
用事を済ませ、前日パレードがあった明治通を歩いた。
車道と歩道の段差に残された紙吹雪は雨に濡れていた。
地下鉄天神駅に行くと、既に会見での小久保の姿が載った号外が柱に貼られていた。
その号外を見つめる人から声と表情が消えていく。
うっすらと涙を見せる人すらいた。
不可解な、そして涙雨で暮れた、2003年11月3日。
あれから3年。
親会社がソフトバンクに変わったホークスは、その間に村松・井口・城島と日本一を支えたメンバーが次々とチームを去り、リーグ優勝は西武・千葉ロッテ・北海道日本ハムにさらわれた。
松中・川崎・斉藤和巳らがチームの中心として引っ張り、常に優勝を争う強いチームではあるが、どこかしら脆さや綻びが目に見えてくる、そんな時期にさしかかってきた。
また、親会社が変わったことで新しい戦略による新しいファンの獲得に成功しつつある一方、南海からダイエーとなり万年Bクラスでため息ばかりついていた頃から常勝チームに変貌するまでの時代を熱く応援してきた人たちが、少しずつ遠慮がちにホークスを見るようになってきた、そんな思いも福岡の街にいて感じ始めていた。
そんな時、WBCで日本代表を初代チャンピオンに導いた王監督が入院。
指揮官がシーズン中に戦線離脱するという最大のピンチ。
それは、チーム内のみならずファンにも激しい動揺を与えるものだった。
大げさかもしれないが、今年だけでなく、5年後、10年後のホークスの戦いにまでも影響を及ぼしかねない事態に直面したといってよかった。
でも、それが合図だったのかもしれない。
王監督が、激しい戦いの中にいながら心の底でずっと望んでいたこと。
「小久保を呼び戻せ。そして、小久保と一緒に戦おう。」
その時が来た。のだと思う。
読売で3シーズンを過ごした小久保がFA権を行使。
ソフトバンク球団の動きは早かった。
それは当然チームとしても必要な戦力であると認識して獲得に乗り出したわけだが、何より王監督がずっと望んでいたことだ。
「小久保を呼び戻せ。そして、小久保と一緒に戦おう。」
ホークスにとって、チームの今後を創るためのカギとなる人物、小久保裕紀。
5年後、小久保自身の成績が、現役がどうとかよりも、ホークスが5年後も常勝球団でいられるかどうか。
チームがゆるぎない強さを持ち続けるための、精神的支柱を呼び戻す、至上命題。
これは補強ではなく、ヘッドハンティングだ。
獲得に向けての結果が見えていた「出来レース」と言われようと、譲れない戦いだった。
そして、小久保は交渉の席についてくれた恩師の心にホークス復帰を即決した。
多くのファンの気持ちは、背番号9の空き番号とともにぽっかりと空いていた。
そこに、背番号9が帰ってくる。
これほど嬉しいことはない。
ホークス復帰が決まった2006年11月11日の嬉しい涙雨。
そして、背番号9のユニフォームを着た11月17日の晴れやかな空。
福岡の街を熱くするため、小久保裕紀とともにまた一緒に戦う日々が始まる。
小久保選手には、チームメイトにだけでなく、ファンをも鼓舞してもらいたい。
松中信彦が、斉藤和巳が、静かに歯を食いしばってチームを率いても優勝には及ばなかった。
力となってあげられなかったのをファンとしてとても悔しく思っている。
だから、一緒に戦おう。戦いたい。
優勝して、一緒に歓喜に暮れようじゃないか。
最後に、3年間読売で小久保選手を応援してくれた巨人軍のファンには心から感謝したい。
不可解な経緯で無償トレードとなったにもかかわらず応援してきた人たちのことを思うと手放しで喜べないのも心の片隅にはあるが、これまで応援してきた人の思い以上に小久保選手を見守っていきたいと思う。
そして、ファンに悲しみだけをもたらすような親会社の横暴を二度と許さないためにも、その思いを持ち続けていきたい。
私の心の動きとシンクロするように書かれた想いを、HiRO@zetton05さんが綴っていらっしゃいます。
ホークスファンでない方も、ぜひ読んでみてください。

読み終わって思わず拍手。
HiRO@zetton05さんのところにもとんで拝見してまいりました。
お二人とも深い。また拍手
いやあ、拍手なんぞいただいて嬉しい限りです。
だから、今朝通勤途中になんか痛いなあって感じがしたのか。←まったくもって意味不明
もう、来春が楽しみでしょうがありませぬ。
拙筆のご紹介、ありがとうございます。
小久保裕紀が帰ってくる。こんなに嬉しいことはありません。そして、来年こそは!
ところで、今年は2006年Hawks回顧企画やらんと?
他球団は始まっとるよ(笑)