忘れかけていたもの

今季もアメリカの地で多くのプロ野球選手が新たな挑戦を始める。
先駆者である野茂、イチロー、松井秀喜らに比べれば、その扱いは地味になるかもしれないが、逆に普段から見ていた選手が海を渡ったので、より身近にメジャーリーグを感じられるようになった。

そんな選手の一人、ドジャース中村紀洋が、オープン戦で初ホームランを放った。

職場でネット速報で確認し、帰宅してから珍しく3つもスポーツニュースをはしごした。
そうだ。このスイングだ。これを待っていたんだよ、中村くん(笑)。

しかも、試合後のコメントがこれまたすがすがしいじゃないか。

「忘れかけていたものを思い出すような会心の当たりでした」

松坂大輔とともにプロ選手では二度の五輪出場、2001年には近鉄バファローズをリーグ優勝に導いた立役者でありながら、メジャー移籍騒動や高年俸といった話題が先行して、プロ野球ファンを自称する人ですら彼のスイングをまともに見ていない人が多いのではないだろうか。
ドジャースのトレーシー監督は、中村ノリの今日の本塁打を絶賛したらしいが、あのスイングとあの飛距離を見てもらいたいのは、彼の打撃をろくに見もせずに高年俸だけで難癖をつけていた日本の自称野球ファンたちだ。

あのスイングから生み出されるボールの放物線は、まさしく野球ファンを虜にする夢の曲線だ。
パ・リーグファンなら、あの放物線への思いをより強く持っているはずだ。

しかし、強く持っていたはずのその気持ちすら、球界再編という言葉の中で忘れかけていたような気がする。

球場へ行き、間近で選手を見て、試合では一投一打に一喜一憂する。
ピッチャーが三振に抑えたり、バッターがホームランを打ったりしたのを見たときのドキドキ感。
さすがに観戦回数が増えるたびに、そのドキドキ感も薄れてきていた。

それを、ノリはたった一振りで思い出してくれたのだ。
自分の野球の原点だけでなく、生で見る野球ファンのドキドキ感をも。

入団時から非常に厳しい立場に置かれている中村ノリだが、バッターボックスに立つのがどこのスタジアムなのかはこの際どうでもよくて、とにかく、パ・リーグの武者たちと共に戦った時のフルスイングを忘れずに、自分のバッティングスタイルを貫き通してほしい。
そして、今日のような放物線をひとつでも多く、ファンに見せてほしい。

君との再戦を心待ちにしている日本の武者たちは、今すぐにでも海を渡らんとする気構えでオープン戦を戦っているのだから。


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コメント

TBありがとうございます。
この時間帯、既に呑んでる自分は、読んで涙腺緩んできました。
公式戦で活躍するノリの姿で、心おきなく野球の愉しさを堪能させて欲しいと思います!

>HiRO@zetton05さん
あたたかいコメント、ありがとうございます。
野球をずっと見続けているファンとして、ずっと野球の愉しさを追い続けていきたいですね。

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